作者 | 山原義人 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 月刊少年マガジン |
巻数 | 全17巻 |
【評価】
★★★☆☆ 面白い漫画。良作。長期連載してる作品は最低このレベル
★★★★☆ 大狼との戦いの部分のみ瞬間的に
◆あらすじや事前情報
龍狼伝をコミック37巻にまとめて第一部完という形にして新たに中原繚乱編として仕切り直した作品。もちろん続編なので事前に龍狼伝を読破している必要がある。
作者が大病を患い作品が一時休載するなど紆余曲折をへて完成した。なお新たに最終章である「龍狼伝 王霸立国編」がスタートを開始している。
◆ネタバレ感想
この作品は連載期間が長いせいで作者の病気もあり作品の内容やテンポ、絵柄などが大きく変容した。
中原繚乱とは言ってみれば「乱世でござる」ということであるが、史実に忠実だった第一部に比べて作者のオリジナルストーリーとして展開している。
実は第一部も作者が作品を書いている間に作画だけでなくストーリー構成や人物の心象表現などが大幅に技量がレベルアップしてしまい、作品内で同一のものと思えない状況になってしまったので、仕切り直したのはいいことだと思う。
一言でこの作品を批評することはほぼ不可能に近く難しい。しかし、作品がつまらなくなったわけではないがある種間延びをしてしまって惰性で読んでいると言う人も多くいたと思う。ただ、他の作品が「つまらないけど今まで読んでたから」という理由が多い中でこの作品はそういった観点でなくストーリーが広大になって・・・と言う感じで間延び感になった点は他の作品と異なっている。
主人公の志狼が匈奴に行ったりして当初は「あとどんだけやる気だよ・・・」と思わせる長さを感じさせた。普通漫画は終わりの巻数を大雑把でも多少はある程度予測できるが、この作品は大雑把でも全く予想できない。そこら辺が中だるみ感を生み出したものになっただろう。
例えば三国志と言えばメインは関羽や張飛であるが、あまりにサイドストーリーをやり過ぎ、強さのインフレが半端なくなったので舞台袖で一時退場している二人の登場回数も少なくなったし、二人の強さも相対的に弱くなった感が否めない。三国志的には二人は最強キャラ的な扱いをしたいだろう。
劉備も孔明もメインディッシュ扱いでクライマックスの時期まで一時退場してるので登場回数が少なくなり、なんか魏や呉の人たちのほうが深く掘り下げされるような雰囲気になってすらある。
またバトルでも念体という必殺技が登場した。この技はある意味使いすぎると悪い思念に囚われてしまうので仙人に使用禁止を課せられたのであるが、見ていると一番念体に取り憑かれてしまったのは作者の様に思う。ある意味念体一辺倒の戦いにバトルは化した。
歴史上のキャラ以外ではオリジナルのライとランというキャラも深く掘り下げていたりしてどんだけ連載続ける気なんだ・・・と思わせたが、ライがあっけなく毒矢で死亡するというまさかの展開に驚いた。なおライは3人目の天運の相の持ち主である。乱世でござる。
このランの毒死あたりからストーリーの風呂敷を畳み始めたのか、物凄い勢いで?統ら有力武将が亡くなっていく。黒瘴虎やラン、周瑜など今まで何があってもなかなか死なないキャラたちの死のバーゲンセールが始まった。このぐらいのテンポでストーリーが進めばもっと面白くスッキリしたのにとも思ったりもした。
結局、この中原繚乱編はクライマックスへのつなぎの章として設定されており(ある意味サイドストーリー的な番外編っぽい感じ)その為、志狼が曹操の配下の将軍となり鳳雛を軍師に迎え、ヒロインに蓮花を置いてのストーリー展開となった。「大将曹操/軍師鳳雛/主人公志狼/ヒロイン蓮花」
今後は「大将劉備/軍師孔明/主人公志狼/ヒロインますみ」としてこの何倍も掘り下げたストーリーを展開する予定のはずであると思うが作品のテンポが上がった今、竜頭蛇尾の様な尻切れトンボの様にならないか心配だ。関羽や張飛があっという間の使い捨てのように亡くならないことを祈りたい。
なお、この編の序盤でダーランという大狼と戦う話があるが、全然三国志に関係ない話であるがその話は人として士としての生き方について哲学的に作者の見解が述べたれており非常に秀逸でこの巻だけ★★★★★の満点を上げてもいいぐらいである。そこは強調しておきたい。なお私はこの漫画を全巻購入しております。